こちらの機能は、エンタープライズプラン以上のCRM組織及び、Zoho One、Zoho CRM PlusのCRM組織に適用されています。
アナリティクス/分析は、成功したすべてのビジネスの要になります。アナリティクス/分析は、自社のパフォーマンスに関する現状を示し、ボトルネックの特定や確かな意思決定に役立ちます。また、継続的なビジネス成長のための道標となります。
Zoho CRMには、グラフ、比較、KPI、異常検出、目標達成度、ファネル、コホート、象限、ゾーンの9種類の分析要素があり、さまざまな種類の有益な分析を実施することができます。これらの要素に、「ステージ」という新しい要素が追加されました。
以下、ステージ要素に関する詳細をご紹介いたします。
ビジネスは、いくつかの段階を経たプロセスで構成されています。営業パイプラインはその典型的な例で、見込み客の創出、見込み客の選別、交渉、クロージングといったステージがマイルストーンとして機能します。
また、見込み客の管理プロセスでは、見込み客の生成、見込み客の情報収集、スコアリング、ナーチャリングといった段階を踏むことができます。これらのステージは、プロセスの進捗状況を記録し、コンバージョンを追跡するのに役立ちます。つまり、これらのステージは、各データの行動を証明するものとして機能します。あなたのプロセスにおける直接的なコンバージョンや離反、停滞状況を明らかにします。
ビジネスが成功するためには、各ステージにおけるコンバージョンや停滞、離反を同時に確認する必要があります。どのステージで見込み客が停滞しているのか、どのステージでダイレクトコンバージョンがあるのか、何が原因でコンバージョンが遅れているのかなど、新しい戦略を立てる前に、さまざまな観点から徹底的に確認する必要があります。これを実現するに役立つのが、新しいステージ要素です。
Zoho CRMにおけるステージ要素
ステージ要素は、ファネル要素の延長線上にあり、プロセスの各ステージにおけるコンバージョン、停滞、離反を表示します。
また、各ステージで起きているコンバージョンの件数、全体の受注率も表示されます。
基本となるステージ要素は、「基本のステージ変遷図」と呼ばれるものです。
基本のステージ変遷図
基本のステージ変遷図は、各ステージに存在するデータの総数を表示することを目的としています。データがどのように次のステージに進んだか、コンバージョン率、全体の受注率が表示されます。ダイレクトコンバージョンしたデータやステージから脱落したデータがある場合は、それらの分析結果も表示されます。
例えば、以下のような営業パイプラインがあったとします。
- 見込み客の選別
- 分析
- 提案
- 交渉
- 意思決定
- 商談受注または失注
以下の図では、対象となるステージは商談受注と商談失注で、それ以外は進行中のステージとなっています。
この図から次のようなことが推測されます。
- 見込み客の選別ステージでは約2000件の商談があり、そのうち80件が直接商談ステージに移行し、約120件が直接失注しています。ここで、80件のデータは直接受注した商談と、120件のデータはまそのステージで失注している(離反とも呼ばれます)と表示されています。
- 次のニーズ分析ステージでは、2000件のうち、約1600件のデータが進行し、80%のコンバージョン率であることがわかります。ここからでも、直接的なコンバージョンと離反が存在する。
このように、「基本のステージ変遷図」では、プロセスの各ステージにおけるダイレクトコンバージョンと離反を確認することができます。
この分析結果を深く掘り下げるために、ステージ要素には、他にも3つの表示方法があります。それらは以下の通りです。
これらの表示方法で、プロセスのフローをステージごとに細かく分析することができます。
詳細なステージ変遷図
詳細なステージ変遷図では、各ステージにおけるプロセスフローを詳細に説明します。隣接するステージへのコンバージョン、ダイレクトコンバージョン、ドロップアウト、停滞、遅延コンバージョンなど、必要な指標をすべて表示します。詳細なステージ変遷図は、データの行動を理解するのに役立ちます。
例えば、見込み客を選定するための期間が3日だとします。
この時間軸をもとに、詳細なステージ変遷図では、データのフローを4つのタイプに分類しています。
- 進捗済み: 規定の時間内に他のステージに移行したデータ。
- 進捗済み(遅延あり): 時間経過後に別のステージに移行したデータ。
- 待機中: 平均時間内で、まだ他のステージに移行していないデータ。
- 待機中(遅延あり): 動きがなく無効で、規定の期間を超えているデータ。
上の図から次のようなことが推測されます。
「見込み客の選別」ステージでは、約2000件のデータがあり、その2000件のデータのうち
- 100件は、見込み客の選別中に待機(遅延あり)している。
- 100件は、見込み客の選別を待機している。(このステージにおける移行制限時間内にいるのが理想。)
- 500件は、他のステージに移行したが、制限時間後に移行した。
- 1300件は、制限時間内に他のステージに移行した。
また、「見込み客の選別」ステージのデータ合計:2000件から、80件が直接目標ステージに到達して商談が受注し、120件が直接失注したと表示されています。同様に、2000件のデータがさまざまなステージを経て、最終的に390件になり、全体の受注率は19%であることがわかります。
このように、データがプロセスの各ステージ内やステージ間でどのような動きをしているかを理解するのに役立ちます。
表形式
表形式ビューは、詳細なステージ変遷図の代替となる表示方法です。移動、待機、停滞、受注、失注などのカテゴリーで、特定のステージにあるデータの件数を表として表示するものです。
積み上げ棒グラフ
このグラフは、カテゴリーを分けたものです。移動と遅延、受注と失注、待機と停滞のカテゴリーに分割して、データの流れを理解することができます。
ステージ要素の設定方法について
Zoho CRMでは、ステージは選択リスト項目より値取得されます。ステージ要素では、選択リストで有効に設定されている履歴の追跡により、コンバージョン、停滞、離反を確認することができます。
そのため、ステージ要素の設定前に、選択リストの履歴の追跡を有効にし、選択リストの選択肢が最低2件(最大50件)設定されているか確認してください。
ステージ要素の設定手順
ステージ要素は、以下の手順で作成可能です。
「アナリティクス」(ダッシュボード)タブをクリックします。
ダッシュボードの一覧画面で、ステージ要素を追加するダッシュボードを選択します。
画面の右上にある「表/グラフを追加する」をクリックします。
「表/グラフを追加する」画面で、「ステージ」をクリックします。
ファネルの形式の選択画面で、要件に合う形式を選択します。
ステージの設定画面で、次の手順を実行します。
・ 「表/グラフ名」を入力します。
・ 対象の「タブ」、「選択リスト項目」、「パイプライン」を選択します。
(追跡が有効な選択リスト項目のみが表示され、パイプラインは商談タブで複数のパイプラインを有効にしている場合のみ表示されます。)
・ 分析したい「期間」を選択します。
・ 必要に応じて、フィルターを設定します。
・ 対象となるステージを追加します。商談の場合、「受注」「失注」の2つが対象のステージになります。しかし、他の選択リスト項目(例:見込み客ステータス)を選択した場合、任意の値を対象のステージとして設定することができます。
「保存する」をクリックします。
詳細なステージ変遷図、表形式、積み上げ棒グラフを選択した場合は、停滞ステージの詳細を設定します。
- データがステージに滞在する「標準滞留期間」を設定します。最短の設定は、1日です。すべてのステージで同じ日数を設定するか、ステージごとに日数を設定することができます。
上記の設定に基づき、ステージ要素にて期間中のデータフローが表示されます。
制限事項
- ステージ要素は、エンタープライズプラン以上のプラン、Zoho One、Zoho CRM Plusプランで利用可能です。
- 選択リストの追跡は、各タブ一件の項目にのみ有効化できます。そのため、ステージ要素は各タブ一件の選択リスト項目に関してのみ作成可能です。